2017年06月16日

「年収30万円でも開業届を出す」の謎を解く

会社を辞めてアーリーリタイアを始めて、私はあえて税務署に開業届を提出し、個人事業主としてやっています。

過日「年収がそんな少額だったら特に開業届けをださなくても大丈夫ですよ」「大庭夏男はなぜ面倒な確定申告をしなきゃいけない個人事業主になったのですか?そのわけ教えて」とのリクエストがあったもんだから、ここに回答しようと思いました。

ただ、他の方々にも参考になるかと思い、コメントリプライではなく、一記事設けました。

年収30万円でも個人事業主のメリット
1.もっと年収は増やそうと努力しているから(基本的なことです)
「会社勤めせずに年収が20万とか30万ならあえて開業届出さなくても済みますよ」「個人事業なら少なくとも年収200万以上ぐらいが相場ですよ」「あんまり無収入が続くと税務署から『アンタ廃業したら』ときますよ」などなど税務に詳しい人から何回もそう聞きました。その回答で一番効くのは「今はそうだけど、将来もっと増やします!」です。実際そう考えているんです。

2.「個人事業主」は看板だから(やや大きなメリットです)
開業届を出さなければ収入は基本的に雑所得となり、個人事業主とか自営業を名乗れません。自称個人事業主になります。すると社会的には「無職」です。無職は信用が低いです。いくら通帳に残高がいっぱいあってもクレジット会社は審査を通過させてくれませんでした。それが個人事業主となった後には、個人年金の収入と合わせての年収が250万円に満たないですが、ちゃんと審査に通るようになりました。そういう意味で職業は重要です。海外旅行でも入国書類に職業を書くとことがあります。当ブログなどでも「大庭夏男 個人事業主」と最近は書いていますが、これも開業届出していなければ虚偽記載になってしまうかもです。

3.個人事業所得は経費が落とせ、しかも雑所得と通算できるから(これは大きなメリット!!)
このメリットは後で知りました。事業収入から経費(事業所得で経費にできるものは幅が広い)を差し引くとマイナス、つまり赤字になることは私の場合ままあります。たとえば車を購入して減価償却する場合、毎年の償却額はデカいので、30万円そこらの年収ではしばらく事業損益の赤字が続きます。この赤字はどうなっちゃうのか?というと、個人年金の金利収入の雑所得からその分を差し引いて課税所得が計算される「損益通算」ができます。

ま、しかしその個人年金の雑所得を入れてもさまざまな「控除」があるので、課税所得はそこから低くなり、場合によりゼロうという「非課税世帯」になることがリタイアするとあるので、損益通算のご利益に気づかないことも多いでしょう。
所得税も住民税もかからないからと安心して。隠れた大物「国民健康保険料」のデカさを見落とすかもです。

しかしたとえ非課税世帯になったとしても国民健康保険料は払わなくてはなりませんが、この国民健康保険料の算出は、控除を差し引く前の、上述した「事業所得と雑所得の損益通算した金額」からはじき出されます。つまり、控除(基礎控除や配偶者控除、社会保険控除などなど)を差し引く前の金額で国民健康保険料が決まるから、ここをいかに低い額に収めるのかが勝負!です。だから経費がいっぱい落とせる事業所得がいいんです!

開業届出したからこそ私の国民健康保険料は安く抑えられましたが、プチビジネスを雑所得扱いでやったら場合はその額も含めて所得が大きく増えてしまいます。雑所得は経費がほとんど落とせませんがリタイアメントは金利収入、年金所得、株の売買収入など多くが雑所得です。その結果多額の国民健康保険料を払わなければならなくなります。

この税金計算と国民健康保険料との関係は、税務に詳しい人でも説明してくれません。ネットにもあまり書いてありません。が、会社員の家族が加入する組合健保などの扶養になっている方々以外のリタイアメントはきっと国民健康保険加入者だと思うので、この保険料対策は無視できないと思います。

4.どうせ妻の仕事の確定申告も私が手続きするから
私の妻もデパ地下で販売員をする仕事をする個人事業主です。従業員になる道もありましたが、そうなると自由に休みを設定できないので「仕事を受けるも受けないも本人の自由!」な個人事業主、つまり販売担当の「業者」になりました。だから経理は私です。それなら“ついでに”私自身の確定申告するのもあまり苦になりません。だって私の方が帳簿つけるのがカンタンだからです。

5.確定申告の理由で東京まで旅行できるから(個人的なメリット)
確定申告は自分自身でもeTaxなどで簡単にできますが、簡単なのは書類の提出がカンタンなだけで、何が経費にできるかできないか、あるいは上述した損益通算できるできないなど税務知識がカンタンかというと、難しいです。奥が深いです。
だから私は東京で以前個人でコンサルタントをしていた時代に通った「東村山青色申告会」にお世話になっています。でも今は関西に住んでいます。

関西は、青色申告会って無いんです!
だから今でもわざわざ関西から車を運転してはるばる東京の東村山まで行くのですが、私には東京にも相続した自宅があり、そこに泊まって東京滞在をする楽しみもあります。でもわざわざ東京ですから、そこに行く立派な理由が無いと「今行かなくても・・・何で今いくのよ」と妻からブツブツ言われます。確定申告手続きしに東村山まで行く必要がある!は、立派な東京出張の理由です。


ただ、ここに書いたメリットは万人共通ではありません。
ふつう(私のような個人年金の金利収入がないとか、受け取る公的年金は年金控除額以下という場合)は基礎控除(本人控除ともいいます)の38万円以下の年間雑所得額だったら確定申告する必要はありません。サラリーマンなど給与所得者や公的年金所得者は他の雑所得が20万円以下でも同様に確定申告は免除されます(ただし住民税は申告して払わなければなりません)。

だから、誰でもかれでもプチビジネスするなら開業届を税務署に提出してやった方がいいとは言い切れませんが、上述したメリットの内、ひとつかふたつぐらいは該当する人は少なくないのではないかな?と思います。

上述ではあえて2.項の個人事業主は看板であるとのメリットを控えめにしましたが(雑所得と損益通算の方が経済的メリットは目に見えるので)、私は「セミリタアイメント」つまりいつもビーチでビール飲みながら悠悠自適している本格的リタイアメントじゃなくて“お金にならないけど好きなことやりたい事”で稼いでいる(小金ですが)プチアントレプレナーである!という意義に価値があると考えていますので、めんどくさいですが税務署に開業届を出して個人事業主といたしました。
タグ:個人事業主

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posted by 大庭夏男 at 15:34| Comment(1) | TrackBack(0) | その他 | 更新情報をチェックする

2012年12月26日

税理士がなかなか言及しない“国民健康保険料”の節税

過日、税理士による確定申告セミナーがありました。
この手のセミナーでの説明は、どの場合でも多くが「所得税」についての解説であり、ついでに「住民税についてもほぼ同様です」と補足的に所得税と住民税は関係する部分が多いとの説明がありますが、国民健康保険料についての説明はありません。

私は、プチ起業の場合なら、会社員であれば年に20万円以内。この理由は給与所得者は年20万円以下のその他の所得が所得税申告免除になっているから。
退職して年金を受けているシニアはケースバイケースですが同程度で抑えて、あまり頑張って高所得のプチ起業家にならない方がいいと思います。なぜなら所得が増えると国民健康保険料もハネ上がるからです。

シニアの多くが加入することになるだろう国民健康保険は「保険料」によって賄われますが、この保険料は保険税とも言って、自治体が徴収する税の一種となっています。
参考:<ウィキペディア 国民健康保険税>

退職したシニアの特徴は「収入が少ない」ということなのですが、年金以外にプチ起業をすると、その収入もあります。収入額はたいしたことないからといい加減に確定申告を済ませると、本来払う必要の無い税も払ってしまうことになります。
特に国民健康保険税(保険料)は所得税や住民税がゼロでもかかりますが、税申告の方法しだいですごく減らせることができます。

まず、所得税がゼロでも住民税がゼロにならない場合があります。
そのマジックは、所得税の基礎控除(本人控除)が38万円であるのに対し、住民税の場合は自治体によって違いますが、33万円だったりします。
すると、年に38万円の所得では基礎控除によって差し引きゼロになりますが、住民税は38-33=5と、5万円の所得が残るので、住民税が出てしまうかもしれません。

しかし基礎控除以外にも、住民税の計算には扶養家族控除とか、生命保険控除などの所得から引く控除があるために、もっと多くても所得はゼロとなることがあるでしょう。
しかし国民健康保険税にはそれがありません。
33万円(自治体によって違う)しか引けません。

ちなみに所得8万円だったとしたら、国民健康保険税を算出する元になる数字は、上記のように5万円から計算します。
私のいる自治体では、これに医療分+後期高齢者支援分+介護分の合計14.68%を掛けて、7340円の所得割を計算するようになっています。

この14.68%という割合は所得税や住民税の税率と比べて小さくありません。だから、国民健康保険税を低く抑えるためには、上記の「38万円の所得」と書いた数字をできるだけ小さくできるように税申告する必要があります。

その方法は、プチ起業でも出来る限り開業届を税務署に出して事業所得とし、経費を計上することです。
所得=収入―経費 ですから、経費で33万円以下の所得まで抑え込めたら、国民健康保険税の所得割計算結果はゼロにできます。
プチ起業では収入が少ない場合「いちいち経費の計算しなくても、扶養家族控除や社会保険控除などでゼロになるから経費計上しないでもいいわ」と思っていると、それが引けない国民健康保険税だけはゼロにならず、結構高い保険税が課せられます。

だから、リタイヤ後にプチ起業する人は、儲け(収入)を全部消せるくらいの経費を計上するように、細かい交通費でも、ノートと鉛筆でも、なんでも経費にできるものはトコトン経費として計上したら国民健康保険税(保険料)は格安になるでしょう。

しかし自治体によっては計算式が違うところもあるので、念のため。。

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posted by 大庭夏男 at 14:41| Comment(0) | TrackBack(1) | その他 | 更新情報をチェックする

2012年08月26日

「バランス・スコアカード」を私的流用する

会社でやらされていた数々の“経営・管理の手法”は、事後アンケートでは「たいへん有用だと思いました」などと書いている人も、本音では「難しい」「つまらない」「そんなヒマない」「誰かやってくれ」だと同僚は言っていました。

そういう「会社でやらされた手法」のひとつのバランス・スコアカード。
これを“私的流用”して、サラリーマン生活をしている“個人”への適用を考えてみました。

バランス・スコアカードというものは、それまでの会社経営の古典的考え「カイシャは儲けてナンボ!」が、もうちょっとマシにならないか、と世界の賢者が知恵を絞った力作だと、私はそう思っています。
「カイシャは儲けるだけが能じゃない、お客の信頼を得るのも、社員がそこで育つのも、感心するような仕事のやり方をすることも大事。」
という「カイシャを見る目」の視点があるよ!という教えのようなものです。
もうちょっと考えると、カイシャは儲けてナンボの世界だけど、商品を売るだけじゃなくて企業買収でどこかの立派なカイシャが自分の会社を買ってくれるかもしれないし、優秀な従業員は他社からヘッドハンティングもあるかも、スバラシイ仕事のやり方はそれ自体をコンサル業にできるかもしれない。
要するにカイシャの価値があがるネタがあるよ、という示唆なのかもです。

ま、ここまでは会社経営の話なので、アーリーリタイヤしてしまった私には、もう何の関係もないのですが、このバランス・スコアカードの考え方を“私的流用”して一社員という“個人”の立場に応用してみると、こんな感じになるでしょう。
「社員は会社で給料を貰うだけが能じゃない、同僚や上司が自分を“いいヤツだ”と思わせるのも、自分が会社で得をするのも、カイシャで経験することも・・・オイシイ。」

これについて掘り下げてみましょう。
「社員は会社で給料を貰う」
これはアタリマエですが、アタリマエならどうしてサービス残業をするのか?という疑問が残ります。実は私はサラリーマン時代にけっこうサービス残業をしていました。それも「やらされて」でなくて自分からやっていました。この理由はバランススコアカードの私的流用で言うところの以下の理由があったからです。

「同僚や上司が自分を“いいヤツだ”と思わせる」
カイシャの中で自分の味方を増やすことは大事なことです。そのため例えば同僚や上司の仕事を手伝うという利他的な行動をします。それがサービス残業になってもかまいません。そうやって同僚や上司に“貸し”をいっぱい作ります。
貸しを作ったからには、返してもらうことを期待します。
自分が窮地に陥ったとき、例えば帰ってテレビを観たいのに資料作りが間に合わないような場合に、貸しを作っておいた上司に「この資料は明日でもいいか?」と要求し、「・・・まあいいだろう」と言わせるわけです。
もし「バカ!今日中だ」などと言おうもんなら、いつか煮え湯を飲ませてリベンジを計ります。
たとえばその上司が困っているときに無視して助けない。こんなリベンジがソフトでいいです。それでもしその上司が頭を下げてヘルプを求めてきたら、何よりも速くやってあげましょう。
こうしていると、自分にとって良い人間関係が築けます。

「自分が会社で得をする」
考えてみるとカイシャには使えるモノがいっぱいあります。
そのうちカイシャのお金と、カイシャの備品と、カイシャの機密情報だけは私的流用するとヤバイですから、ヤバイことはしないようにします。
カイシャには気の会う仲間ができることも、冷暖房完備のステキな部屋とデスクも、自分をチヤホヤしてくれる取引先に方々も、エクセルやワードをタダで教えてくれる社員教育も・・・
これらはやり方によっては私的流用しても、あたかも「カイシャのため」というカモフラージュがカンタンです。
みんなが帰った静かなオフィスでの悠々としたくつろぎタイム。
取引先との打ち合わせ後の料亭での更なる打ち合わせ。
自分ひとりじゃ滅多にありつけない将来の儲けにつながりそうなスキルアップの教育の数々。
飲み会の後にサウナに行って、そこからオフォスに戻り机にうっぷして朝まで仮眠。朝一番にパソコンつけて机に向った姿に誰も異議は唱えないでしょう。
考えようによってはサービス残業代など凌駕してしまう得がカイシャには潜在しています。

「カイシャで経験する」
「苦労は買ってでもせよ」という戒めがあるようですが、そういわれたら「ハイ」ととりあえず言っておきましょう。
しかしそれが苦労だけのための苦労のようであれば、テキトーにお茶を濁して努力しないようにします。この点、ふつうのビジネスマンは類稀なる能力を持っていて「嫌な仕事はヒトに押し付ける」ことが上手なこと!自分がその餌食にならないように気をつけます。
しかし一見嫌な仕事に見えて、実は有用な仕事も混じっていますから、よく考えて仕事内容を見極めましょう。
嫌な仕事は誰もやらないから、もし自分がそれをやったら第一人者になることが容易です。しかも他の誰もやっていないので、他の人から見ると、大変な仕事を頑張ってやっているように見えます。
実は何ヶ月かして慣れれば大したことない仕事であっても「君はエライねぇ!」みたいに・・・。
そうすりゃ、その道では自分のやりたい放題ってことにも!

こういうカイシャに落ちているモノを拾うことは、私にとっては生きた財産と言えたのかもしれません。
そういうカイシャ経験は今のアーリーリタイヤメント生活でも役立っています。

アーリーリタイヤメント生活で、バランス・スコアカードをどう活かせるのか?については、まだ2年のリタイヤメント経験だけではうまく描くことができなかったので、
そいつはいつか、またの機会に記事にすることにしましょう。

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posted by 大庭夏男 at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | 更新情報をチェックする